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百貨店

その1 業界のしくみ
改革が続く百貨店業界

 百貨店は複数の都市圏にまたがって店舗展開する全国展開型と特定の地域のみで店舗展開する特定地域型に分かれる。全国展開型で約6割のシェアを持ち、かつ伊勢丹、高島屋を筆頭にして特定地域型を含めた仕入れグループがそれぞれ形成されており、表面上のシェア以上の影響力を持つ。百貨店は各地区の繁華街に集中し、そのなかで一番店になるためにしのぎを削る。仕入れの交渉力を高め、品揃えなどで他店との差別化を図るためである。

 消費の低迷、大型専門店やショッピングセンターなど新しい商業施設の増加、ネット通販の拡大など、百貨店業界は厳しい経営環境が続いている。そのため再編の動きが相次ぎ、各社とも大規模なリストラ、仕入れ体制の見直し、高コスト体制の改善などをこれまで進めてきた。08年4月に持ち株会社を設立し経営統合した三越伊勢丹ホールディングス、07年9月に松坂屋と大丸が統合したJ.フロントリテイリングや09年9月にそごう、西武百貨店、ミレニアムリテイリング、ロビンソン百貨店の4社が合併したそごう・西武など業界内で再編が進む。大型再編の一つと言われていた高島屋と阪急阪神百貨店の持ち株会社エイチ・ツー・オーリテイリングの経営統合は10年3月に統合断念を発表。現在、5大グループと系列の地方百貨店が中心の勢力図となっている。

大手主導による地方百貨店の立て直し

 一方、地方でも消費回復の遅れ、人口の減少、大型専門店やショッピングセンター、ネット通販などとの競合など、依然厳しい状況が続く。そこで大手百貨店の傘下に入り生き残りを賭ける地方百貨店が増えてきている。たとえば三越伊勢丹ホールディングスは09年8月に札幌丸井今井と函館丸井今井を、また09年10月に福岡の岩田屋を子会社化している。大手百貨店側も、地方の中堅百貨店の子会社化や出資でグループ化を進め、共同仕入れや経営支援を積極的に行っている。

インバウンド需要の取り込み進む

 近年大幅に増加している外国人観光客は1人当たりの購買単価も高く、売上高を伸ばしていることから期待が寄せられている。そのうえ、10年7月の中国人へのビザ発給要件の緩和や同年10月の羽田空港の国際線ターミナル開港などを受けて、各店舗では外国人観光客向けに対応の充実を図っている。

その2 最新トピックス
業界史上、最大といわれる大阪百貨店戦争

 大阪では生き残りをかけた大手百貨店間の競争が激化している。09年11月にそごう心斎橋店がJ.フロントリテイリングに買収され、大丸心斎橋店としてリニューアルした。また高島屋大阪店は大規模な増床工事を進め、新たな顧客開拓を狙う。三越伊勢丹ホールディングスは11年5月に大阪駅の北側に完成したノースゲートビルに新規出店。梅田の阪急百貨店本店も12年春までに建て替えを予定している。

 各百貨店の増床・リニューアルによる新規顧客獲得競争に今後も目が離せない。

高島屋が中国上海に最大級の百貨店出店、海外戦略に活路を求める

 高島屋が12年に中国上海に中国最大級の百貨店を出店する計画を明らかにした。現地のデベロッパー企業と提携し、売り場には食品や家庭用品、高級衣料品を取り揃えるとしている。大手百貨店の中国進出は三越伊勢丹ホールディングスに続き2社目となる。大手百貨店が中国進出にシフトするのは、国内市場が縮小傾向にあり、新たな成長のための戦略が求められているためだ。そこで、今後の成長が期待できる中国をはじめとしたアジアを活路として期待している。中国に進出した企業の成否が今後の百貨店の海外戦略に大きな影響を与えていきそうだ。

仮想ファッションモールの躍進

 ZOZOTOWNなどネット上における仮想ファッションモールが躍進している。従来、百貨店で販売していたブランドが次々と展開しており、利便性の高さから利用者が増加。店舗の来客数減少の一因となっている。百貨店業界でもネット販売の拡充を経営戦略に挙げる企業も多く、西武百貨店や伊勢丹では売り場ごとにショッピングサイトを開設するなど新たな試みもおこなわれている。

異業種との業務提携相次ぐ

 丸井グループが楽天との業務提携を行い、インターネットショッピングモール「楽天市場」へ出店、エイチ・ツー・オーリテイリングと全日本空輸(ANA)がカード会員向けサービスにおいて業務提携を行うなど異業種企業との業務提携が相次いでおり、顧客の囲い込みが行われている。商環境の変化に加え百貨店ブランドの低下により、異業種のノウハウを仕入れるなど新しいビジネスモデルの再構築が急務となっている。

その3 採用の傾向
経営戦略に適った人材が求められる

 消費者のライフスタイルの変化や、量販店・専門店との競争激化など、百貨店業界を取り巻く環境は課題も多く、それらの課題や困難をどのように克服していくかにより今後の動向が左右される。

 その課題克服のため、各百貨店では独自の経営戦略を打ち出しており、その戦略に適った人材が必要になる。たとえば個性化を打ち出す百貨店では発想力に長けた人材が期待され、ネット通販に力を入れる百貨店ではIT知識が求められる。

 百貨店各社がどのような経営戦略を打ち出しているか、今後も注目する必要がある。

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